平安大新の鎧兜はひとつひとつを細部にまでこだわってお創りしております。
そもそも鎧や兜は武士が身を守るために身に付けた防具ですが、いつしか意匠や細工に装飾という意味だけでなく、 願いや加護を求める気持ちを篭めるようになり、戦で使う防具のほかに、神様に奉納するための鎧なども作られるようになりました。 兜や鎧は「防具」としてだけでなく、神仏に通じるものとしても発展してきた歴史があります。
平安大新の鎧兜も、伝統の技術の粋を凝らし、お子様の健やかな成長を願う五月人形に相応しい意匠や細工を随所に施しております。 そのこだわりをお伝えできればと各部の名称をご説明しております。
1.鍬形(くわがた)
2.前立(まえたて)
3.兜鉢(かぶとばち)
4.吹き返し(ふきかえし)
5.錣(しころ)
6.忍緒(しのびお)
7.ふくさ
8.兜櫃(かぶとびつ)
兜の前方に付ける装飾を「前立(まえたて)」と呼びます。
これは武士が己の武や存在を誇示するための装飾で、験金(しるしがね)と呼ばれることもあります。
特に有名なのが「鍬形」と呼ばれる角のような左右一対の装飾で、見た目通り「クワガタムシ」は
この「クワガタ」からきています。
鍬形だけでなく動物や幻獣のモチーフを加えたり、信仰するものを掲げるなど、武士にとって前立ては
名刺代わりでもありつつ、願いや祈り、信条の篭められたものでした。
さてこの鍬形、細長い形のものと横が広い形のものがあることにお気付きでしょうか?
戦国以降の有名武将は例外ですが、一般的に細長い形の鍬形は源氏の流れを汲み、
幅広のものは平氏の系統と言われております。ぜひ、鍬形の形も楽しみながらお選びください。
兜の左右にある「吹き返し」は、刀が当たらないように顔を守る部分です。
上方に反り返った形をしているのも、当時の合戦を思い浮かべていただければお分かりいただけるでしょう。
大きく張り出した吹き返しは、細工の見どころの一つでもあります。
彫金とは読んで字の如く「彫る金」。つまりは金属を彫るところからきています。
最近ではワックス加工を彫金としているメーカー等もありますが、平安大新では本来の意味に則り
「金属の表面に鏨(たがね)を用いて彫った文様・文字・透かし」を彫金と称しています。
印伝とは古くからある革工芸の一つで、なめした革に漆で模様を描いたものです。漆で着色していますので、
画像を見ていただくと模様が盛り上がっているのがおわかりいただけるかと思います。
この「漆で描く」技法が発達したのが武田信玄の時代。その前の鎌倉時代より鎧や兜の装飾に珍重されていたこともあり、
とても武将に縁が深い技法となっています。
「錣(しころ)」とは、兜の裾をぐるりとスカート状に取り囲む部分のことです。
錣を彩るカラフルな糸を「威糸(おどしいと)」と言います。本来は武具ですので革紐や綿紐を
用いますが、五月人形の場合はお飾りですので華やかで艶のある正絹も好まれます。
素材に関わらず、良い造りのお飾りは威糸にしっかりと密度があって地が透けません。
また、威糸のお色にも意味がありますので、五月人形選びに迷った時はお色に篭められた願いで
お選びいただくのも素敵です。いくつかのお色についてご紹介します。
赤は悪いものを寄せ付けない生命力、太陽の象徴です。また、神社の鳥居の赤や還暦のお祝いの赤いちゃんちゃんこ等、魔除けとしても代表的なお色であり、武士においては大将の色です。
赤も強い色ですが、白も「何物にも染まらない」強いお色であることから「強靭な意志」そして「清廉潔白」「誠の心」を表します。 災いを打ち払う紅白は古来よりお祝い事に好まれてきた、五月人形に相応しい色目です。
この色合いは「菖蒲の花」の色を模しているとされ、「菖蒲」は「勝負」「尚武」に通じるため武士に好まれた色です。また、菖蒲は薬草としても優れていたため魔除けの意味もあります。
山吹色は黄金に通じる色として、時代劇等で「山吹色のお菓子」と大判小判の隠語にも使われるほど。 そのため、魔除けの色としてだけではなく、「金運にあやかりますように」という願いも篭められています。
こちらは色目ではなく素材のご紹介ですが、平安大新ではより本格的に牛革の縅糸を用いたお飾りもご用意いたしました。繊細な絹糸とは一味違う、武具に篭められた武士の力強さをお楽しみください。
「櫃」とは鎧や兜をしまっておく入れ物のこと。
平安大新でお取り扱いしている全ての五月人形は、付属のお櫃に収納することができ、 一つ一つ手仕事で丁寧に仕上げた漆塗りのお櫃が大切な五月人形を湿気や汚れからしっかりと守ります。
収納箱としての役割だけでなく、お飾りと一緒に飾っていただけるように、
飾っていただいたときにお飾りが映えるように、お櫃の細工にも目一杯拘りました。
紗とは、夏物の着物などにも使われる絹織物。
同じく夏の着物に使われる絽のように織り目が大きく、網のようになっているので薄く向こう側が透き通ります。
その様は、ぼんやりとした様を示す『紗がかかったような』という表現の元になっています。
「紗張り」または紗張漆ともいい、文字通り、「紗」を櫃の表面に「張った」もの。
紗を張った上から漆をかけると、張り込まれた紗の織目が出て独特の風合いに仕上がります。
手作業で何層にも重ねた漆が描き出す独特の美しい凹凸が、武州塗の特徴の一つ。
武具に相応しい、雄々しい美しさのある仕上げです。
そもそも漆塗りには装飾以上に「丈夫にする」という役割がありますが、上の紗張りや、
何層も塗を重ねる武州塗は、「いれもの」として「櫃」が求められる堅牢と、
装飾・展示品として求められる見た目の美しさも兼ね備えています。
同じ技法ですが、こちらは赤で模様が出る珍しい仕上げです。武州塗は模様が石の目に見えることから「石目塗」とも呼ばれておりますが、こちらは「赤石目」と呼ばれます。
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